【なぜ名作?】『アンタッチャブル』感想・考察|正しさだけでは届かない街で、誰を信じるか

きちんと手順を踏んでいるのに、相手には最初から話が筒抜けだった。『アンタッチャブル』のエリオット・ネスは、そんな悔しさにぶつかります。仕事を正しく進めようとしても、その土台が信用できない街です。

派手なギャングと捜査官の対決を楽しめる一方で、ネスが誰を仲間にし、どこまで踏み込むかも気になってきます。正しい側に立っていれば、迷わず進めるわけでもない。そこに、古典的な活劇の苦みがあります。

前半は結末に触れずに紹介します。「感想・結末の考察」からは、重要な展開のネタバレを含みます。

『アンタッチャブル』のあらすじ

禁酒法時代のシカゴで、連邦捜査官エリオット・ネスは、アル・カポネの犯罪を取り締まろうとします。しかし、街には汚職が広がり、思うように成果を挙げられません。

ネスは老警官マローンらと信頼できるチームを組み、カポネへ近づいていきます。捜査が進むほど、仲間と家族の安全も脅かされていきます。

『アンタッチャブル』の基本情報

原題 The Untouchables
製作年・国 1987年・アメリカ
ジャンル 犯罪ドラマ/サスペンス
監督 ブライアン・デ・パルマ
主な出演者 ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ、アンディ・ガルシア

作品情報の参照:Paramount:物語・配役・製作情報。

『アンタッチャブル』が不朽の名作といわれる理由3選

1.役割の違う4人がそろう、チーム映画の面白さ

アンタッチャブル:エリオット・ネスを演じるケヴィン・コスナー
エリオット・ネスを演じるケヴィン・コスナー。
画像出典:シネマトゥデイ/Paramount Pictures・Photofest・MediaVast Japan

買収が当たり前のシカゴで、エリオット・ネスは信頼できる仲間を集めます。経験の浅いネス、街を知るベテランのマローン、若いストーン、帳簿を追うウォレス。全員が同じ強さを持つのではなく、得意なことが違います。

中でもショーン・コネリーのマローンが渋い。きれいな理想だけでは通用しない街を知っていて、ネスに厳しい言葉を投げます。正義感の強い主人公と、現実を知る年長者の組み合わせが、4人を応援する楽しさを生んでいます。

管理人
マローンが味方にいると頼もしいです。でも、頼りきっていると怖い方向へ連れていかれそうな感じもある。その癖の強さがいいんですよね。全員を同じ熱血漢にしないので、4人で動く場面にそれぞれ見どころがあります。

2.デ・ニーロ演じるカポネの、笑顔まで不穏な存在感

アンタッチャブル:人前で余裕を見せるカポネ
人前で余裕を見せるカポネ。ロバート・デ・ニーロが演じる。
画像出典:シネマトゥデイ/Paramount Pictures・Photofest・MediaVast Japan

ロバート・デ・ニーロのカポネは、隠れて怯えている犯罪者ではありません。人前で堂々と振る舞い、贅沢をし、自分の力を見せつけます。楽しそうに話している場面にも、いつ機嫌が変わるか分からない怖さがあります。

ネスたちの活動と、カポネの暮らしを見比べると、何を相手にしているのかがはっきりします。悪事が一人の乱暴者だけで成り立つ街ではない。豪華な部屋や周囲の人の態度も、敵の大きさを伝える材料になっています。

管理人
デ・ニーロは、ただ怒っているときより、余裕のある顔をしているときが怖いです。自分が罰せられるとは思っていない感じがする。ネスたちが正論を言うだけでは、この人には届かないんだなと分かります。

3.階段の銃撃戦とモリコーネの音楽が、抜群に格好いい

アンタッチャブル:駅の階段を使う銃撃戦
駅の階段を使う銃撃戦。Movieclips公式クリップ「The Stairway Shootout」のサムネイル。
画像出典:Rotten Tomatoes Classic Trailers/Movieclips公式公開動画

駅の階段で、捜査と、乳母車を運ぶ母親の動きが重なっていきます。目の前の困っている人を放っておけない。でも、任務の相手から目を離すのも危険。ブライアン・デ・パルマ監督は、その二つを同時に気にさせ、緊張を高めます。

何が起きるかだけでなく、いつ起きるかを待つ時間まで面白い場面です。エンニオ・モリコーネの音楽も、4人が立ち向かう姿を大きく見せます。筋書きの意外さより、映画としての見せ方にしびれる作品です。

管理人
急いでほしい場面ほど、時間がゆっくりに感じられる。あの階段は、そのじれったさがうまいです。助けに行ってほしい気持ちと、いま動いたら危ないという気持ちで、こちらまで目が忙しくなります。

感想・結末の考察【ここからネタバレ】

帳簿と証言が、派手な対決の先にある

暴力的な駆け引きの中でも、最終的にカポネを追い詰めるためには、法廷で使えるものを積み上げる必要があります。会計や証言を扱う仕事が、チームの一部として重要になるところも好きです。

目立つ場面だけを追っていると見落としそうですが、誰かの専門が別の人の行動を支えている。チームの映画として観ると、活躍の仕方が一種類ではないことに気づきます。

決着しても、街の問題が全部消えるわけではない

物語の終盤では、ネス個人の勝負と、禁酒法をめぐる社会の動きの大きさに、少し距離が見えてきます。命を賭けた仕事の背景にある規則も、時代とともに変わっていきます。

それで犠牲が軽くなるわけではありません。立派な勝利の場面のあとにも、何のためにここまでしたのかという余韻が残る。そのわずかな苦さが、映画をただの成功談にしないところです。

作品についてよくある疑問

実話どおりの映画?

実在のエリオット・ネスやアル・カポネを題材にしていますが、人物の配置や出来事には創作があります。映画の印象的な場面を、そのまま史実の再現とは考えないほうが楽しめます。

犯罪映画に詳しくなくても大丈夫?

対立と人物の役割が分かりやすく、予備知識がなくても入りやすい作品です。ただし、暴力や流血のある場面は含まれます。

あわせて観たい作品

頼れる仲間がそろう嬉しさと、引き返しにくくなる怖さが一緒にある映画です。チームの活躍を楽しんだあとで、ネスの顔つきがどう変わったかを思い返したくなります。

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