【なぜ名作?】『恋はデジャ・ブ』感想・考察|同じ毎日が嫌なのに、自分は変えたくなかった

また同じ朝、同じ挨拶、同じ仕事。『恋はデジャ・ブ』の設定は不思議ですが、そのうんざりした気分には覚えがあります。主人公フィルは、周りの町や人々が退屈だと、最初から決めつけている人です。

一日を何度でもやり直せるなら、人生は楽になるのでしょうか。本作は、その便利さをたっぷり笑わせたあとで、知っていることが増えても、欲しい関係までは手に入らないところへ進みます。軽いラブコメの顔をして、日々の過ごし方まで気になってくる映画です。

※前半は結末に触れずに紹介し、後半の考察ではネタバレを含みます。

あらすじ

天気予報士のフィル・コナーズは、地方の町の行事を取材するため、プロデューサーのリタとカメラマンのラリーと出張します。仕事にも町にも不満だらけの彼は、早く帰ることしか考えていません。

ところが翌朝、目覚めると同じ日が始まっていました。周りの人は前の一日を覚えておらず、繰り返しに気づいているのはフィルだけ。彼はその仕組みを試しながら、同じ一日を何度も過ごすことになります。

基本情報

作品名 恋はデジャ・ブ
原題 Groundhog Day
製作年 1993年
製作国 アメリカ
監督 ハロルド・ライミス
主な出演者 ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル、クリス・エリオット
ジャンル コメディ/恋愛

『恋はデジャ・ブ』が不朽の名作といわれる理由3選

1. 同じ挨拶が、笑いにも恐怖にも変わる

恋はデジャ・ブ/Movieclips配信映像のサムネイル
画像引用:Movieclips「Groundhog Day (1993) – Groundhog Day… Again Scene (2/8) | Movieclips」(配信映像のサムネイル)

朝のラジオ、宿の会話、道で会う昔の知り合い。繰り返す場面が決まっているので、観ているこちらも、次に何が来るかを覚えていきます。フィルが先回りするたび、その違いを見つけるのが楽しい。

ビル・マーレイの、うれしくなさそうな顔がよく合っています。大事件に巻き込まれた人の大げさな驚きより、またこの話を聞くのか、という疲れた反応が可笑しいんです。

同時に、笑っていた繰り返しが、終わらないと分かった途端に重くなります。明日になれば変わるという逃げ道がない。その一つの設定を、気楽な遊びにも、出口のない不安にも使うところが巧みです。

管理人
一度目は気にならなかった挨拶が、二度目には笑えて、その先では少し怖くなる。場面は同じなのに、こちらの受け取り方だけが変わるんですよね。同じ説明を何度も聞いているだけなのに飽きにくいのが、不思議でうまいです。

2. 相手の好みを覚えても、関係までは攻略できない

恋はデジャ・ブ/Movieclips配信映像のサムネイル
画像引用:Movieclips「Groundhog Day (1993) – Ned Ryerson! Scene (1/8) | Movieclips」(配信映像のサムネイル)

フィルは、リタの好きなものや話し方を知り、次の一日にそれを持ち込みます。相手が望む反応を先回りすれば、うまくいくはずだと考える。その発想が、可笑しくも、少し嫌なものにも見えます。

リタにとっては初めての会話でも、フィルには何度も練習した台詞がある。知識の差を使って親しさを作ろうとするので、表面を整えても、不自然な必死さが残ってしまいます。

このすれ違いがあるから、恋愛は正しい選択肢を押せば進むゲームではなくなる。失敗した場面を消しても、自分が相手をどう見ているかまでは消せない。その問題に、便利な設定が行き着くのが面白いです。

管理人
相手の好きなものを覚えること自体は、悪いことではないですよね。でも、気に入られるための答え合わせばかりになると、目の前の相手が見えなくなる。フィルの空回りを笑いながら、全部他人事とも言えない感じがします。

3. 退屈だと思っていた町に、人の事情が見えてくる

恋はデジャ・ブ/Sony Pictures Entertainment配信映像のサムネイル
画像引用:Sony Pictures Entertainment「GROUNDHOG DAY – Official Trailer」(配信映像のサムネイル)

最初のフィルにとって、町の人々は帰り道を邪魔する存在です。繰り返し会ううちに、彼らが何をしていて、どこで困っているかを知るようになります。世界が広がるのでなく、同じ町の解像度が上がっていくんです。

何かを覚える時間も、自分を見せるためだけのものから変わっていきます。昨日の結果は残らなくても、彼の中には、身につけたことや人を知った時間が残る。何を続けるかで、同じ日が違って見え始めます。

大きな説教をするより、小さな行動の変化を並べる。世界を変えてくれと文句を言っていた人が、自分の注意を向ける先を変える。その変化に、物語の温かさがあります。

管理人
嫌な一日だと思っていると、人の顔まで雑に覚えてしまうことがあります。フィルの町も、最初はそんな見え方なんですよね。人を知るほど同じ道が違って見える。環境が全部変わらなくても変化はある、というところに救われます。

ここからネタバレあり|結末・テーマの考察

助けようとしても、変えられない出来事がある

フィルは繰り返しの中で、ある老人の死を止めようとします。それでも、同じやり方を直せば必ず救えるという展開にはなりません。この局面が、万能になったように見えた彼の立場を揺さぶります。

誰かを助けることまで、自分の成功の一つにしてはいなかったか。すべてを操作できないと知ったあとにも、目の前の人へ何ができるかを考える。そのため、後半の親切は、便利な力を使った点数稼ぎとは違って見えます。

なぜ時間が進んだかを、一つの条件に決めなくていい

結末では、ようやく翌朝が来ます。ただし映画は、何を何回行えば解除される、というルールを示しません。リタに好かれることだけを脱出の鍵にすると、彼の変化がまた攻略法に戻ってしまいます。

同じ日を嫌っていた人が、その日の人々や時間を大事にし始めた。変わったのはカレンダーより先に、彼が一日へ向ける気持ちです。仕組みの正解を探すより、その変化を見届けるほうが、最後の朝がうれしく感じられます。

よくある疑問

時間が繰り返す科学的な説明はある?

映画は装置や理論の説明を中心にしていません。同じ日を繰り返せる状況で、フィルが何をするかが中心です。謎解きより、行動や関係の変化を楽しむのに向いています。

明るいラブコメとして観られる?

ユーモアと恋愛のある作品ですが、孤独や死、自殺に関わる暗い局面もあります。全編が気楽な繰り返しのギャグだけで進むわけではありません。

おわりに

毎日が同じだからつまらないのか、自分が同じ見方でしか見ていないのか。フィルを笑っているうちに、その問いが少しこちらにも返ってきます。明日を迎えることが、こんなに小さくて大きな出来事になる映画です。

あわせて観たい関連作品

関連商品

広告:この欄には楽天アフィリエイトのリンクが含まれます。

参考資料・画像の出典

作品情報は公式資料を照合し、レビュー・批評も参考にしながら、感想と考察は当サイト独自の文章でまとめています。画像の配信元は各画像の下に記載しています。